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違いを超えてダイアローグ拡がった『CAFE2030 SOCIAL DIALOGS』ー国連採択のSDGsテーマ 旧山口萬吉邸でー
2017-12-15Column
11月14日(火)、旧山口萬吉邸(東京都千代田区九段北)にて『CAFE2030 SOCIAL DIALOGS-違いを超えて、未来を語る社会対話型ネットワークイベント』を開催いたしました。九段下の坂を上ると見えてくる深い緑に囲まれた邸宅跡「旧山口萬吉邸」。関東大震災の直後から、時代を超えて今も佇むこの場所を、今回は特別に提供させて頂きました。
夜の帳が降りた頃、政府・国連・NPO・NGO、一般企業などから約90名もの多彩な人々か次々に集い、久しぶりに灯の点った大きな扉をくぐられました。みなさま国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs )をテーマにキーパーソンの言葉に耳を傾けられ、時には、熱くお互いの意見を交換されるなど、古い洋館は未来への活発な対話の場となりました。
SDGsゴール 持続可能な社会のための開発は、途上国だけでなく加盟国すべての課題
SDGsとは、2015年9月の国連サミットにおいて「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された国際目標です。「1.貧困をなくそう」、「2.飢餓をゼロに」、「7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」などの17のゴールが「だれひとり置き去りにしない」という哲学のもと採択されました。
持続可能な開発目標は、途上国のみならず、国連加盟国のすべての国が2030年までに達成を目指すものとして位置づけられています。
今回の司会はアクセンチュア株式会社チーフ・マーケティング・イノベーター 加治慶光さん、パネラーは国連広報センター所長 根本かおるさん、外務省国際協力局 地球規模課題総括課長 甲木浩太郎さん、一般社団法人SDGs 市民社会ネットワーク専務理事・事務局長 稲場雅紀さんです。
経験・知見・文化・思想・立場を超えて、ダイナミックなパートナーシップが必要
オープニングは、滞在先のポートランドよりNI-WA代表 吉川がご挨拶。ポートランドは市民参加型の積極的な街づくりや、歴史的建造物の再利用によっても評価を高めたまさに持続可能な都市のモデルでもあります。吉川からは、この旧山口邸も同様に時を超えて、サロンなど新しい出会いの場として再生されることを願いながら、準備を進めている旨をお伝えし、ソーシャルダイアログセッションはスタートしました。
間口の広いSDGs は自分ごと化が可能 子どもの貧困、女性の就労課題は今の日本でも
国連広報センター所長 根本さんからは、SDGs の17の目標が、広報を進めるにしたがって、大きなうねりとして、周囲・社会に拡大していることを実感していると現状をご報告頂きました。
その理由として、1つめはゴールがさまざまな分野に渡っており、間口が広いこと。そして突き詰めると、相互に関連性が高く深くつながっていくということ。2つめにSDGs は海外の途上国だけでなく、日本人にとっても身近な課題で、「自分ごと化」され易いということ。3つ目に企業がCSRを超えて本業の真ん中、経営戦略そのものに取り込む機運が拡大していること。それらの理由で達成への動きが加速しているとの見解を述べられました。
「日本も子どもの7人に1人は貧困におり、女性の賃金は男性の75%にとどまっています。SDGs は海外の途上国だけでなく、私達の足元の問題を考えてくれているのです。」
動画PRで敷居を低く、政府を使い市民に広く知ってほしい。大切なのは企業における本業化
「市民社会と日本の企業・市民組織の中でムーブメントになっている実感がある。大切なことは、まず一般の人に知ってもらうこと。」外務省の働きかけを振り返りながら甲木さんは話されます。国連はPR動画によしもとクリエイティブエージェンシーのタレントを起用、外務省はピコ太郎さんをSDGs 推進大使に任命。より幅広い人への広報をしかけながらも、根本の推進には、企業のCSRの本業化が欠かせないとのこと。「政府を使ってアクションを広げて欲しい。2019年の国際レビューに向けて、日本が先駆者となれるようしっかり進めていきたい」その言葉からは熱意と協力体制が伝わってきました。
「誰も置き去りにしない」メッセージは市民団体にも伝わりやすい哲学
一方、国連の事業と国内での市民団体活動の連携は現状どのように取り組まれているのでしょう?市民社会ネットワーク専務理事・事務局長 稲場さんによると「NPO・NGOなどの市民活動には、“誰一人置き去りにしない”という『leave no one behind』の哲学であるこの言葉 が響く活動も多い」とのこと。「まさに震災復興もそう。障がい者支援の団体には、この言葉をバッグに刺繍して製品化しているところもあります。今後は国内と国際の連携をどうしていくかも課題です。」
「私達が人類を救う最後の世代になるかもしれない」対話の量が理解の深さと拡がりを生む
世界で起こっている問題や取り組むべき課題は、私たちの暮らしの中、仕事の中心で起こっており、ゴールのヒントともつながっていることを実感したCAFE2030。
ジャーナリスト、投資家、業界団体のSDGs 室のみなさま、LGBT・働き方改革・広島県から平和の課題に取り組む行政のみなさんなど、多様で多彩な知見・経験・アイデアをもった方々から、他にも沢山の対話が広がりました。
セッションの途中、司会の加治さんから紹介された「私達が人類を救う最後の世代になるかもしれない」というフレーズ。その言葉の現実味と希望を、参加者のみなさまは感じておられたようでした。
セッションの後半は、1階のフロアでイタリア料理やワインなどを楽しんで頂き、みなさんで旧山口邸のフロアを見学。外務省の甲木さんからは「持続可能な未来を語るのにふさわしいこのような場をもっと広げたい」とのお言葉も頂き、普段は静かな旧山口邸も、この日は賑やかに、夜遅くまで、ゲストのみなさまも交流の声・グラスの触れ合う音に満たされました。
今後も、NI-WAでは、未来を語るコミュニティの対話の場の提供を続けてまいりますので、どうぞ宜しくお願いします。